いよいよ公開を目前に控えた2月3日(月)ジャパンプレミアにジェームズ・マンゴールド監督が登壇しました!

満員の観客に大きな拍手で迎えられた、ジェームズ・マンゴールド監督。「LOGAN/ローガン」以来8年ぶりの来日となった本日、日本に戻ってきた気持ちについて「本当にこうして東京、日本に戻って来られて、とても嬉しく思っています。日本の映画コミュニティは熱量がすごく、映画文化が生き生きとしているのが魅力です。私はそんな日本の映画界が大好きですね。本作の音楽シーンも同じく情熱的なので、この作品を日本の皆さんと分かち合えることが、とても楽しみです。」と嬉しそうにご挨拶。
そして、本作で描かれたボブ・ディラン、本人と実際に会ったされたエピソードや印象について「ディランとは長い時間を共に過ごすことができました。まず脚本のリサーチを重ね、執筆したものを彼に読んでもらいました。すると、とても気に入ってくれて、“会おう”と言ってくれたんです。実際にお会いして、彼から本当にたくさんのことを学びました。」と実際に会うまでの経緯を説明し「もちろん、ディランについて書かれた本や資料から事実は得られます。でも、彼と直接話したことで、そうしたものには載っていない、もっと個人的で感覚的なことを知ることができました。例えば、“この曲を書いたとき、どこに座っていましたか?”とか、“どの時間帯に作業していましたか?”といった質問をしました。映画というのは、その時代や場所、空気感を伝える力に優れています。単なる事実だけではなく、“その場にいたとき、どんな気持ちだったのか”という感覚的な部分を伝えることが大切だと改めて感じました。」と、当時を思い出しながら詳細に説明をしてくれました。
また、 ディラン本人から「ここを入れてほしい」といった具体的なリクエストがあったかなど、質問が及ぶと「脚本やアイデアについて感想は伝えてくれましたが“ここが抜けている”といった指摘は一切なかったですね。むしろ、とても協力的で助けてくれました。例えば、映画には『Masters of War(戦争の親玉)』という楽曲が登場します。この曲は6分もあるので、映画の中で全て流すのは難しいと思っていたのですが、ディランが“大丈夫、俺もライブで全部は歌ってないから”と言ってくれたんです(笑)。そうした形で、彼は作品に対して柔軟で、制作を後押ししてくれました。」と説明。ディランとの時間が映画に与えた影響について聞くと「間違いなくそうですね。彼の言葉、彼の存在が、この映画に魂を吹き込んでくれたと思います。」と、ディラン本人の力が、本作の完成に欠かせない、大きな力になったことを明かしました。
そして、この度アカデミー賞(R)主演男優賞にもノミネートされている、本作の主演ティモシー・シャラメに話が及び「彼と一緒にこの作品を作ると決めたのが2019年でした。最初に彼に伝えた言葉は、“ギターを買ってください”でしたね。それから6年が経ちましたが、彼がこの役にどれだけの情熱を注いできたかは、映画を見ていただければ一目瞭然だと思います。」と絶賛。ティモシーがどのように役と向き合っていたかを聞くと「彼はコロナ禍や他作品の撮影を挟みながらも、ずっとボブ・ディランをどう演じるか、どう理解するかを探求し続けていました。このような伝説的な人物を演じる上で最も重要なのは、音楽がその人物の一部であるということ。ボブ・ディランは音楽そのものでもある。だからこそ、ティモシーが本物の音楽性を持ち、演じるのではなく“彼自身がディランになる”ことが必要でした。その点で、彼は完全にこの役を自分のものにしていました。」と太鼓判を押しました。その確信を持った瞬間については「特に印象的だったのが、映画冒頭の歌のシーンです。クランクインして最初の1週間で撮影したのですが、実際にライブの場で彼が歌い上げる姿を見て、“これは特別な作品になる”と確信しました。彼の演技が、ただの再現ではなく、本当にその空間を満たし、広がりを生み出していたんです。俳優が作品の世界を完全に支配する瞬間を見ると、監督としてほっとするものです。」
最後に、劇場の観客に向けてメッセージをお願いすると「日本に来られて本当に嬉しいです。こうして皆さんにいち早く本作をお届けできることを、心から嬉しく思っています。ただ、映画を見る前にあまり長々と話すのは無粋でしょう。シェフが料理を振る舞う前にあれこれ説明しすぎるのと同じですからね(笑)。とにかく、まずは映画を味わってください!」と、冗談を交えながらも日本公開に向けた喜びに溢れた笑顔で会場後にしました。
2月28日の公開までカウントダウンが始まった本作。今週末にはティモシー・シャラメの来日イベントが決定し、テンションは最高潮に!ぜひ続報にご期待ください。